kumainu-devの備忘録

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鎮静剤を用いた経口胃カメラを経験したがトラウマになった話

先日、人生二度目の胃カメラを経験し、鎮静剤を用いた経口胃カメラであったのにも関わらず二度と受けたくないと感じた。いわゆるトラウマになってしまった話をしようと思う。

きっかけ

食事の前後に胃が胸焼けをおこし、肋骨あたりに違和感が発生することが2年ほど続き、去年末頃から特にひどくなってきたので、12月の下旬に大きめの病院へ行った。その病院には別の病気で去年末に入院しており、その時肝臓の造影剤CTを撮影した履歴が残っていたので、その時のデータと照らし合わせながら診察をしてもらった。

当日は血液検査と尿検査を行ったのだが、どうも肝臓の数値(特にALT/AST)が悪く、このまま放置すると将来、慢性肝炎になるリスクが非常に高いとのことだった。原因は重度の脂肪肝のため、この日から糖質制限のダイエットを行う事となったのだが、これは腹痛とは直接関係がなさそうだとのこと。

原因は胃腸?

診察の結果、主な原因は肥満のために腹圧が上がり、胃腸が圧迫されて痛みが発生している可能性があるとのことだった。胸焼けに関しては、私は逆流性食道炎持ちなので、それが悪化してきている可能性が高い。しかし、もし痛みとの関係も捨てきれず、胃腸に何らかの別の異常がある可能性も高いので、胃カメラをやることになった。大きな病院のため、その場でやってもらうことはできない。予約をとって実施する形となり、その検査が先日だったわけだ。

胃カメラは経験したことがある

胃カメラは今から6年ほど前に経験している。その時は経鼻胃カメラと言って、口ではなく鼻からカメラを通す、比較的 嘔吐反射(※)が少なく、患者の負担が少ないやり方で実施された。しかし、前述の通り嘔吐反射がまったくないわけではなく、あくまで「口からに比べたら鼻は幾分か楽である」と言った程度で、何度も反射が起こり苦しい思いをした(粘膜が擦れて鼻血も出た)

※嘔吐反射とは、いわゆる「えずき」のことで、喉の奥に異物を感じると吐き気をもよおすことを言う

今回は鎮静剤を試してみたい

経鼻胃カメラよりも、鎮静剤を用いた経口胃カメラのほうが楽だというネットの情報を見つけた。詳しく調べてみると鎮静剤を使うと次のようなメリットがあるとのこと

胃カメラで嘔吐反射が発生するのは、喉の奥にカメラのケーブルが当たってしまうためである

リラックスしているときに比べ、緊張状態になると喉の奥が狭くなってしまい余計に反射を促進してしまう

鎮静剤を使うことで、意識が朦朧としている状態で実施するため、リラックスしている状態を作ることができる

人によっては眠ってしまうこともあり、その場合は気がついたら終わっていたということもある

経鼻胃カメラで痛い目にあった私としては、かなりの朗報である。もちろん鎮静剤に依る生命への危険性が0ではないため、同意書への記入が必要だったり、検査後丸一日は乗り物の運転が一切禁止だったりなど、制約はあるが、相方が付き添いできてくれるとのことだったので、迷いなく実施することとした。

当日(リラックス~喉の麻酔)

検査当日は、受付を済ませリカバリルームと言う場所に案内された。歯医者の椅子とエステサロンの椅子を足して2で割ったような「無骨なリクライニングチェア」が設置されており、そこに座らされた。座り心地は歯医者の椅子よりも少し柔らかい程度で、足を伸ばせる。明るい室内にはオルゴールBGMが流れており、異様な雰囲気が余計に不安を煽る。

間もなく看護師がやってきて血圧計測やら検温やらを行った。血圧は正常値(110/80)で問題なかったので、引き続き説明を受ける。

「これから麻酔入りの氷をお召し上がりいただきます。お味は、りんごとコーヒーがございます。どちらをご用意いたしましょうか。」

えらく丁寧な説明で、ファミレスかなにかかと思ったが、麻酔入りの氷とはとんでもないパワーワードである。これからあなたを襲いますが、甘いのか苦いのかどちらがいいですか?と言われているようなものだが、ついつい「おすすめはどちらですか」と聞いてしまい、失笑をかってしまった。しかし「りんご」か「コーヒー」とは、かなり極端に差があるものだ。うーむ、これはどちらがいいだろうか。私の経験上、食品のフレーバーとしてコーヒーが美味しかったのは雪印のコーヒー(牛乳)か、チロルチョコのコーヒーヌガーぐらいでありそれ以外のコーヒーフレーバーではあまりいい味だと思ったことが無い。りんごであれば、ジュースでもグミでもある程度おいしい。むしろまずく作るほうが難しいであろう。

ということで、りんごを選んだ。

すぐに注文の「麻酔薬入り りんごアイス」が届いた。まず、氷は無色透明でなぜか「ハート型」なのである。それはいいとしても、チロルチョコよりもやや大きく、しかも噛んではだめで、なめて溶かす必要があるとのこと。私は普段、氷を口に含まないのでこれがとてもつらかった。

そして肝心の味だが、これがものすごくまずい。本当にクソ不味い。りんごの風味や味が薄いのは仕方ないとして、麻酔薬の味なのか、ものすごく苦いのだ。これは地雷を引いてしまったのかもしれない。もしかしたらコーヒー味ならこの苦味が良いスパイスになったのではないだろうか。ともかく、なめていくうちに麻酔が効いてきて、少しずつ小さくなっていった。10分ほど苦痛に耐えながら完食した。

当日(移動~予診)

リカバリルームの隣の部屋にある部屋に案内され、何やら手術室みたいな場所に連れて行かれた。そこで仰向けに寝かされて、腕に血圧計やパルスオキシメーター(血中酸素濃度を測る装置)などが取り付けられた。その時の血圧が150ぐらいまで上がったそうで「緊張されていますね」と看護師。そりゃそうだ。以前に経鼻胃カメラで痛い目にあってトラウマになっているのに、こんな仰々しい場所に連れてこられて「はいこれから口にケーブル突っ込んで胃の中見ますね」って言われたら緊張しても仕方ないであろう。 程なくして、胃カメラ担当医がやってきて、寝たままで予診(最後の確認)が行われた。鼻からの胃カメラでも苦痛があったので、可能であれば楽に受けたい旨を伝えると「朝、歯磨きで嘔吐反射起きる?」と聞かれたので、「はい、毎回起きますし、何度か嘔吐したこともあります」と返すと「あーそれなら確実にカメラ辛いわ」と笑いながら脅かされながら、局所麻酔のスプレーを何度も追加で足してもらった。

当日(検査開始)

追加の麻酔スプレーのおかげで口と喉の中がわけわからない状態になったところで、ドクターが「さぁ始めよう」と一声。アシスタントや看護師が一斉に「はい」と返事し、一気に現場の空気がピリッとしたのが伝わり、私の緊張はピークに達した。既に注射針は腕に刺さっており、「鎮静剤入れます」という声が聞こえが2~3秒後、突然見えている景色のピントが合わなくなり、聞こえてくる音が小さくなった。これがドラマや映画で鎮静剤や麻薬を打たれたときの演出に似ており、少し感動した。その状態で横向きに動かされた。ここで気づいたのだが、意識は少し朦朧としているのにも関わらず、肌に触れる感覚や痛覚に関してはかなり鮮明である。嫌な予感がしてきたのだ。

当日(検査中)

口にホースが通る用のマウスピースのようなものが取り付けれた。唇に指が触れる感覚など、かなり鮮明だ。もう嫌な予感しかしない。検査開始前に「死んだ魚のように口をぽかんと開けておいてください」と言われたので、だらんとして口を開けていた。いよいよケーブルの挿入だ。舌にケーブルが何度か接触し、入ってくるのがわかる。

すると!きた、反射だ!

もはや、鎮静剤を使わなくても同じなのではないかと思うほど、何度も嘔吐反射が起こり、ついに手が動いてしまったので、医者がケーブルを抜いた。これではだめだ、看護師(たぶん)が背中を擦ってくれてもう一度挑戦。すると今度はいくらか反射がマシになった。ここからは記憶が曖昧で何も聞こえなかったのだが、胃の中と十二指腸内を一通り見たようだ。はい、ケーブル抜けましたよという声を唯一覚えており、もこもこのタオルを添えていたにも関わらず、自分の肩が唾液でビシャビシャになっており、その感覚だけは鮮明に覚えていた。

当日(検査後)

ドクターは「胃はきれいでピロリ菌もいない、食道炎は重度だが、潰瘍はなく健康な胃だった」という言葉をかけられた。私は感謝の言葉を言った(はず)、その後車椅子に乗せられて別の部屋に移動させられた。そこから約1時間安静にと、ベッドで横になり、相方に車を運転してもらって家に帰った。

鎮静剤を使った胃カメラの感想

「二度としたくない」という言葉に尽きる。鎮静剤の効果は人によるだろうし、病院の方針で半覚醒にさせるか眠らせるかは違うであろう。しかし、いくら意識が朦朧としていても、嘔吐反射は辛く、思い出すだけで気持ち悪くなるいわゆる「トラウマ」になってしまった。 これなら鼻からのほうがいくらかマシなので、万が一、次に胃カメラを受けなければならない状況に陥ったならば、鼻から受けたい。いっそのこと意識をなくしてくれると私にとっては一番ラクなのだが、、、、

これから胃カメラを受ける方へ

鎮静剤の種類や体質にも夜が、一説には「お酒に強い人は眠くなりにくい」ということらしい。しかしこれはあくまで一説であり、確実な情報ではない。これから受けられる方が、自分が鼻からか鎮静剤を使った口からか、どちらが一番楽なのかについては一度ドクターや看護師に相談してみてはいかがだろうか。胃カメラはいかにリラックス状態でうけるかというのが負担のない検査で最も大事らしいので、つらい思いをすることの一番のデメリットは「トラウマになってしまったらリラックスすることが難しくなる」ということである。 是非一度、どのやり方が自分に適しているか、病院に相談してみてはいかがだろうか。