kumainu-devの備忘録

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ニトリのスマート電球「ネクト」を導入したのでKPT法で振り返ってみる

スマート電球にデビュー

とある用事でニトリに行ったときのこと、生活応援セールとやらをやっていて様々な商品が値下げになっていた。練り歩きながら家具小物を物色していると、スマート電球を発見した。

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前々から、自室のライティングをして癒やしの空間を作りたいと考えていた。ホテルや高級住宅などでよく採用されている「壁埋込式の調光器」は、使える照明器具が限られており、既設なら電気工事などを伴う大掛かりなものとなる。スマート電球を使えば、既に持っている照明器具を使えるため、手間的にも予算的にもお手軽に構築することができるということは知っていた。 だが、PhilipsのHueなどのプロダクトは、いくら調光器を導入するより安くなるとはいえ、LED電球そのものが安くなく、一部屋を間接照明で明るくしようとすると複数個必要になる上に、電球をまとめてコントロールするためのブリッジ(ハブ)が別途必要となる。 (※最近では、従来のZigbee規格に加えてBluetoothが搭載され、ハブがなくてもスマホでコントロールできるようになったとのこと)

しかし、今回見つけたニトリのスマート電球は、WiFi搭載のためスマホがあれば照明をコントロールできる。そして白色~電球色の間で色を変化させる事ができ、照度コントロールもできる。さらに、AmazonEcho、GoogleHomeに対応しているため、対応製品を持っていれば音声による照明のコントロールもできるようだ。 私はAlexa搭載のヤマハの音響機器を使用しているため、これを気にスマート電球デビューを果たそうと、3個ほど買うことにした。 追加で照明器具を3つ購入し、部屋のリフォーム作業が始まったのだ。

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部屋の構造

私の部屋は10畳間で、およそ縦横比7:3の長方形であり、短辺の片面は掃き出し窓、反対側には50インチの液晶テレビが置いてある 長辺の片面は腰窓があり、反対側はベッドが設置してあるような間取りである。中央にはソファーと机もある。 今回は、1つ目はテレビの裏に設置して間接照明に、もう1つはスタンドライトをベッド脇に設置、残りの1つはペンダントライトに。

KPT法で振り返り

本記事のタイトル通り、結果的に良かった部分ばかりではない。ここはエンジニアっぽくKPT法で振り返ってみる。

KPT法は、やったことの振り返りをK(eep) P(roblem) T(ry)の三軸で一つ一つの結果を考えること

※Kは良かったこと・続けたいことのニュアンス、Pは悪いこと・問題点、Tは挑戦すること・改善点など

※話の都合でK→P→TではなくK→T→Pで展開する

Keep(良かったこと)

とても安価に照明のIoT化が達成できた

電球のみでは7176円で3つの電球をIoT化できた。すべてのメーカーを調べたわけではないが、ニトリのスマート電球は国内メーカーだと最安値かもしれない。大手のPhilips製では電球単体で3,740円、アイリスオーヤマ製では2,770円、巷で人気のIKEA製では2,499円、ニトリ製は今回のセールで2,392円となり最安値である(2022年1月10日時点の価格・いずれも調光・調色(RGBではない)機能を持ったスマート電球で比較) 初めて導入するときに、価格が手頃であるというのはメリットが大きい。またAlexaに対応しているため、後は照明器具さえあれば既に使用している家のIoT家電との相性も良いと思う。

雰囲気あるライティングができた

照明のIoT化とは少しずれる話だけれど、昼光色のLEDシーリングライト一つで過ごしていたときと考えると、まるで雰囲気が違ってまるでホテルのような癒やしの空間と化した。昼間や仕事などでは色温度の高い寒色系で過ごし、夜やリラックスタイムでは色温度の低い暖色系で癒やしを得るなんてことができるようになった。電球の色は個別に設定できるので、壁はオレンジ、フロアは電球色、シーリングライトは白みたいなこともできる。

Alexa連携で声で操作できる

Alexa、寝室のライトを暗くして みたいな感じで言えば、ムードある明るさに…と思ったが10%程度暗くなるだけでほとんど明るいママだった。なので定型アクションとして登録し、声をトリガにして電球の操作をテンプレート化することにした。これでいくつかのパターンを登録して運用している。

国内製品だから安心して買えた

どんなプロダクトも不具合はあるし、個体差も不良品も存在する。日本の検品事情を過信しているわけではないが、比較的不具合が少ないようにも思う。また実店舗があることでもし初期不良の製品を引いたとしても、買った店舗まで持っていけば、大抵の場合その場で交換してもらうこともできるので、安心して買えるのである。 (ネットショップでも返品交換は可能だが、こうった作業は休みのうちに終わらせたいから当日対処できるほうがありがたい)

操作のレスポンスが良く電球としてしっかりしている

後から知ったのだが、この電球はWiFi専用。そのためレスポンスがどうなのかという不安がよぎったが、SmartLifeというアプリから操作してみたところ、ラグは0.5sec程度と、ストレス無い反応速度だったので安心した。 また、電球の明るさは810lmなので流石に明るい。10畳間で1個というのは心許ないが、数個取り付ければ癒やしの空間ができそうである。

ニトリの照明器具は安価

電球だけでなく照明器具も3つで1万円以下で揃ったことに驚きだ。もっとも、間接照明で電球を隠すだけならもっと安くする方法はあるだろうが、今回はフロアスタンドランプやシーリングライトも買ったので、デザインを考えると驚愕の安さだと言える。 ニトリは家具屋なので、自室にスマート電球を取り入れようと突然思いついても、デザインさえ気に入ればその場で照明器具やその他家具を併せて買うことができ、店舗を回ったりネットショップで購入し首を長くして待つ必要もないわけだ。 さらに家電量販店やホームセンターなどと比べ、デザインされた照明器具が安価で手に入ることに驚かされる。特にこの独特なライトは、家電量販店E社で見ると8000円弱だったが、ニトリで販売されている同等のデザインの商品は半額以下で購入できる。 www.nitori-net.jp

こうした同じデザインの家具が安く買えるということに対しては「お値段以上、ニトリ♪」のキャッチコピーに嘘偽りはないのだ。

Try(改善したいこと)

LEDテープや小型の照明器具も取り入れたい

テレビ裏に電球を設置したことで部屋の間接照明を一部手に入れることができた。こうなると欲をかいて、棚などにも間接照明を設定したくなる。そうなるとテープの出番だ。ニトリではLEDテープも取り扱っているようだったが、売り切れておりオンラインでも存在を確認することができなかった。導入にあたっては他メーカーのLEDテープを買うしかなさそうである。

壁スイッチが欲しくなった

スマート電球買ったらあるあるの問題で、シーリングライトをスマート電球にすると、壁のスイッチを切ったときに電球がオフラインになってしまう問題だ。壁スイッチを切ってしまうとシーリングライトの電球を声で操作することができなくなるだけでなく、たくさんの電球で部屋全体をライティングするようにしていると、シーリングライトだけでは暗いという問題も発生する。Alexaなどの音声コントロールを家族全員が運用してくれればいいのだが、家の母親などは面倒がって壁スイッチを押してしまう。不在時に掃除などで部屋に入ったとき、壁スイッチを操作されてしまうと、その電球だけオフラインになる。そうなると夜に帰ってきて、自室で「アレクサ、ただいまー」というとシーリングライトだけつかないみたいなことが発生してしまうのだ。

それを改善するには、壁スイッチをスマートスイッチに変更し、スイッチをトリガに電球をつけるようにすれば、あとは、家族にこっちのスイッチでつけてとだけ言えば、大体の問題は解決すると思う。

Problem(良くなかったこと)

説明書が簡素すぎてわかりにくい

電球のパッケージを開けたら2枚の紙が入っており、1つはアプリの使い方と音声コントロールのやり方がかいてあった(アプリのDL方法や電球の登録方法は書いていない)、もう一枚にはオンラインリファレンスへのQRコードが添付されていた。結局ここにアクセスして説明を見なければ何もわからないという仕様で、1枚目はただの重要事項説明書のようなものだ。これは本当に添付する意味があるのだろうか? 結局、電球を登録状態にする方法がわからず、ネットで調べて「数回電気をつけると登録状態になる」というのを知ってペアリングがなんとかできた。 しかし、何度もタイムアウトをしたりして、決してスムーズには登録できなかった。大量に登録する人は大変だろう。

ニトリのスマート電球はE26口径しかない

後から気づいたのだが、ニトリで取り扱っている「ニトリ製の」スマート電球のラインナップは「E26口径の1種類」しかない。これの何が問題になるかというと、フロアスタンドランプやシーリングライトなど、比較的大型の照明器具ならば大抵の場合E26口径なのだが、テーブルランプやクリップライトなど小型の照明器具はE17口径という一回り小さいソケットを採用しているのが主流。将来的にE17口径も発売される可能性もあるが、現時点ではできない。 したがって、ニトリ製で統一するとなるとE26口径の製品で統一する必要があるので注意が必要だ。 PhilipsのHueはE17口径の電球もラインナップされているので、そちらを使ったほうが幅広い活用ができそうだ。

電球がWiFiにしか対応していない(致命的)

WiFi電球はアプリを介せばスマホだけでも運用できる手軽さが最大の利点だが、同時にWiFiの1クライアントとして存在するデメリットもある。つまり10個使えば、ルーターに接続するWiFiクライアントが10個増えることになり、ルーターに負荷がかかってしまう。 我が家のルーターは36クライアントまで推奨となっており、電球を含めず私の部屋だけで10クライアント、その他家族のスマホやワイヤレス機器を含めて10クライアント、残り16クライアントしか使えないということになる。その16クライアントの中で電球をやりくりせなばならず、将来的に家中の電球をIoT化なんてことをすれば確実に足りなくなる。

こちらは後で知ったことなのだが、HueやIKEAのスマート電球では、Zigbeeという通信規格を採用しており、ざっくり言えば非常に低い消費電力で小容量かつ短距離を高速で通信できるものらしい。指向性のない赤外線通信に近いようなイメージ。しかも、Zigbee搭載端末同士をリレーションしてくれる機能もある。これに対応していると何が嬉しいかというと、消費電力が少なくレスポンスの良いリモコンが作れるということ。ボタン電池でも700回以上のスイッチができるため、1年以上電池を交換せずにリモコンが使える。これなら壁スイッチにしても問題ないであろう。ただし、その仕組み上Zigbeeを搭載している機器しか対応しておらず、Zigbeeを搭載していない機器とは互換性がない。

それではWifi電球ではどのような問題が出るのだろうか。WiFiでもレスポンスは問題ないが、消費電力が大きく、とてもリモコン用のバッテリーだけで運用できるものではない。ましてや、壁スイッチとなると充電するということはまず考えられず、常時給電する必要がある。現在流通しているWiFi式のスマートスイッチは、壁に埋め込むタイプしかなく、壁のスイッチを取り替えるには電気工事を伴い、資格がなければできないのである。(私は資格を持っていない) しかも、自己責任でできる性質のものではなく、きちんと罰則が設けられているので、たとえ自宅でも無資格で作業をしてはいけない。 つまり、誰か資格を持っている人(または業者)にお願いするか、資格をとって自分でやるしかない。 さらに、既設のスイッチでは配線が足らないため新たに一本電源を引っ張ってくる必要があるとのこと(壁スイッチ自体が電源を必要とするため) 他者にお願いした場合、工事費+配線費+器具代その他諸々がかかるので決して安くはないであろう。

つまり、WiFi専用電球で壁スイッチを手に入れることはたやすくないのである。

elaws.e-gov.go.jp電気工事士法第3条第1項及び第2項の規定 ※3か月以下の懲役又は、3万円以下の罰金

振り返ってみて

いざ運用していみると、一人暮らしならともかく、家族と同居していると、壁スイッチがいかに重要かというのを思い知らされる。もっとも、IoTリテラシの高低関係なく壁スイッチは便利で、ある意味究極の効率化デバイスなのかもしれない。Philips社でも新型のHueはDimmerスイッチのみで操作ができるようになっており、そういった趣向の製品は今後どんどん増えていくものだと思われる。 WiFiのみにしか対応していないスマート電球は、とにかく導入が楽で運用が簡単だが、拡張性が低く運用する上ではいくつかの制約を伴うので注意が必要だということがわかった。 タイトル通り、私にとって壁スイッチが安価に手に入らないのでは致命的である。しかし、照明器具自体は使い回せるし、電球が安かったので再チャレンジができるのが幸いだ。この電球は誰かに安く譲って、今度はPhilipsHueで再チャレンジしようと思う。